平成23年度(2011/12)

60.卒業式

59.

 

49. 「5月のはなし」 (11年5月7日)

50. 「6月のはなし」 (11年6月4日)

51. 「補習校創立25周年記念式典」 (11年6月25日)

52. 「9月のはなし」 (11年9月4日)

53. 「10月のはなし」 (11年10月3日)

54. 「11月のはなし」 (11年10月30日)

55. 「12月のはなし」 (11年12月3日)

56.「二学期終業式」  (11年12月17日)

57.「三学期始業式」

 

 

 

 

60.卒業式 (2012年3月17日)

先ほど、みなさんに修了証書と卒業証書をお渡ししました。この一年間の勉強の成果がこれらの証書に現れています。みなさんが新たなステップに向かって一歩前進するということです。みなさんの賞状を受け取るときの輝いている目を見ることができるのが、校長をしていてもっとも嬉しいことです。心からおめでとうございます。
特に小学校を卒業する3人、中学校を卒業する一人、のみなさん、ご卒業おめでとうございます。それぞれの学校を巣立って、それこそ大きな一歩を歩みだすところです。21世紀はみなさんのものです。その将来を担っていくみなさんに、私からお願いしたいことなどをいくつかお話ししたいと思います。
先ず最初に自然を大事にして欲しいということです。
人間は大昔から長い間、自然に生かされてきました。生かされたということは自然に逆らわず、それこそ自然が神々である、というようにうやまい、おそれ、その中でいかに生きていくかを考えてきていたのです。ところがこの態度が近代に入って少し変わってきました。人間がもっともえらい存在だという、思い上がりの気持ちがでてきました。豊かさ、便利さ、安全など人間の幸福を追い求めて達成した、科学技術の発達がありました。そして自然を開発することが豊かな社会をつくるためには必要であると思うようになりました。こうした自信が自然を無視する態度につながってしまったことは否めません。一年前の日本の大地震ではあらためて自然の力の強さ、ものすごさ、を見せ付けられました。世界の最先端の技術を持っている日本でも、まったく手も足もでなかったことは、記憶に新しいところです。あくまでも人間は自然の一部にすぎません。今ある日々の平安な暮らしに感謝すると共に「ものの豊かさから、こころの豊かさ」に生き方を問い直す必要があるように思います。 幸いに、今の世の中ではこういった考え方に目覚めてきています。一人ひとりのこうした考え方が結果として大きな力になることを忘れずに、努力してください。
 二つめは「誠実と思いやりの気持ちを忘れないでほしい」ということです。
私たちは、思慮深い人になる必要があります。思慮深い人とは、周りの人のことやよりよい社会のことを考えて行動できる人のことです。人間は助け合って生きています。自然物としての人間は決して孤立しては生きられるようにつくられていません。助け合うという気もちや行動のもとは、いたわり、という感情です。これは他人の痛みやつらさを感じることで、努力しないと自分のものになりません。常にこういった気持ちを持つように努力して欲しいと思います。あるテレビのコマーシャルでだれか他人にちょっとした親切を行い、その親切を受けた人が、今度は他人の困っている状況をヘルプする、ということを繰り返しているうちに、最初にちょっとした手助けをした人が他のだれかに助けてもらっていた、という内容のものがあります。見たことがある人もいるかも知れませんが、ちょっとした他人への配慮の積み重ねがすみよい世の中をつくるきっかけになります。
マザーテレサという人の言葉があります。
どんな小さいことであっても、大いなる愛を込めておこなうことは、人に喜びを与えます。そして人の心に平和をもたらします。
何をするかが問題ではなく、どれほどの愛をそこへ注ぎ込むことができるか、、、 それが重要なのです。
マザー・テレサの「愛」という仕事より
君たちがそういう自己を作っていけば、将来きっと人間みんなが仲良く暮らせる時代がくるものと思います。
三つ目は「目標を立てて努力を続ければ、必ず困難は乗り越えられる」ということです。
確固たる目標を立て、あきらめないで努力を続ければ、途中で道に 迷ったり、壁にぶつかったりしても必ず目標を達成できると信じてください。この学校で、君たちは様々な学習を経験し、先生・友達との交友を通して、自分の課題を見つめ、その課題を解決するための考え方を学んできました。先生たちのあたたかく厳しい指導をしっかり 受け止めて、頑張ってきたことに自信と誇りを持ってください。
ドイツの学者でイマヌエル・カントという人がいました。 この人は「世界における一切のものは何らかの目的に役立つ、世界には何一つ無駄なものはない」と述べています。 あら ゆるものは意味があって宇宙に誕生し、偉大な連関の中で自分の役割をまっとうしているということです。  みなさんひとりひとりがこの宇宙に生を受けたことが、どれほどの奇蹟でありどれほど深い使命を持っているか、そのことに想像をめぐらせてほしいと思います。
みなさんの未来は、真夏の太陽のようにかがやいています。 この未来におおいに期待しています。
最後になりましたが、保護者の皆様、お子様のご卒業誠におめでとうございます。

59.3月のはなし (2012年3月4日)

今日は3月3日、桃の節句、ひな祭りの日です。お雛様をかざって女の子の健康を祈るお祭りです。
この歴史はもう今から千年位前の平安時代にさかのぼるそうです。平安時代は約400年続いた天皇と貴族を中心とした政治体制でした。このころにひらかな・カタカナなどができて日本独自の文化が発展し、はなやかな文化も生まれました。そうした中からひな祭りというものもでてきたのでしょう。
貴族が都で華やかな生活をしている一方で下層階級は貧乏な生活を強いられ、民衆の間に不満がだんだん高まっていました。こうした時代に出てきたのが武士階級です。侍という戦争を仕事とする人たちが次第に力をつけてきていたのですが、その中で平清盛という人を中心とした平氏と源氏という二つの家が互いに争い、平氏が勝ち残って政治の中心に座ることになりました。このころの話をしましょう。
京都は都ですから全国の中心地です。その京都の中を鴨川という川が流れています。町の中にあるのでこれを渡るための橋がいくつかかかっています。京都の道は南から一条、二条、というように番号がついていて、五条という道には五条の大橋と呼ばれる大きな橋がかかっています。この五条の大橋に毎晩大男が現れて橋を通りかかる人を襲って持っている刀を取り上げるということが起こりました。この男は弁慶という名前の僧侶でした。弁慶は体も大きく、力も強くて誰もかなうものがいませんでした。彼は刀を千本集めるという目標を立てて毎晩、橋で通りかかる人を待っていたのです。そして999本の刀を集めました。あと一本で千本になります。その晩も五条の大橋に出かけて人が通りかかるのを待っていました。もちろん京の中でもこの大男が毎晩五条の大橋に現れることは有名になっていたので、みんな恐れて近寄らなくなっていたのでなかなか千本目の刀が現れません。弁慶もちょっといらいらしていたことでしょう。そうしたら、笛の音が聞こえてきました。誰かがやってきます。弁慶は獲物がやってきたとよろこびました。そこにやってきたのはまだ若い少年ですが、とても立派な刀を持っていました。弁慶はこの若者を呼びとめて、怪我をしたくなったら刀を置いていけ、といいました。ところがこの若者は笑って、とれるものならとって見ろ、と言ったもので、弁慶は怒って、襲い掛かりました。ところが相手はさっとよけてしまいます。ますます怒った弁慶はなぎなたで切りかかりました。でも相手はその度にいとも簡単にすり抜けてしまいます。やがて弁慶は疲れてきました。そうしたときにこの若者は持っていた扇子でびしっと弁慶の頭を打ち据えたのです。弁慶は生まれて初めて戦いに敗れたのでした。そして若者に、「参りました。お名前を教えてください」といいました。この若者の名前は牛若丸といいます。この牛若丸が持っていた扇子はこのように日の丸を書いたものでした。 牛若丸は後に源義経と言う名前にかわります。そして、兄の頼朝に協力して平氏を破り、源氏の世の中を作る助けをしました。源氏と平家の戦いは源氏が勝ち、平家は滅びます。そのときの源氏の大将はこの義経でした。この戦いの最中に平家の船の上に掲げられた扇の的を矢で見事に射落としたという有名な話がありますが、この人は義経の家来の那須与一という人でした。このときに平家側が掲げた扇はこういうように赤地に金色のマークでした。もし、この源平の戦いで平氏が勝っていたら、もしかしたら今の日本の国旗は赤地に白の丸になっていたかも知れませんね。われわれの運動会では赤白に分かれて戦いますが、赤組みと白組のもとはこの源平の戦いからきているのです。
いつの間にか話しが日本の国旗の話しになっていました。日の丸というのは日本という名前とともにもう千年以上前から使われています。スポーツの国際試合、特にオリンピックだとか、去年の女子のサッカーのときなどに日の丸を見ると、あ、日本人ががんばっているんだと、誇りに思えますね。法律では日章旗といいますが、ながーい歴史の上にあるということと、日本が長い、すばらしい歴史を持っているんだということを自覚してほしいと思って今日はちょっと長くなったけれども歴史の話しをしました。

58.2月のはなし (2012年2月4日)

2月は日本のコヨミでは如月といいます。きさらぎという名前はまだ寒さが残っていて着るものをさらに重ねて着るというのがその名前のもとだという説があります。日本は今とても寒いみたいですね。一方、こちらはいつもの冬とは大違いで特に今週などとても暖かかったですね。今日は立春です。冬至と春分の丁度まん中で、あと1ヵ月半もすると昼間と夜の時間が一緒になります。5年前の同じ立春の日に朝礼の挨拶をしていますが、それを見ると朝の気温が華氏の5度だったそうです。僕はだいたい暖かいほうが好きなので、今年の冬は大歓迎です。
明日はスーパーボウルというのがあります。これはフットボールのチャンピオンを決める大きな試合で、明日はニューイングランド・ペイトリオッツとニューヨーク・ジャイアンツとの間で戦われます。この試合にはアメリカでは1億人以上の人がテレビに釘付けになり、また世界200カ国に中継放送されるそうで、オリンピック、ワールドカップをはるかにしのぐ高い視聴率を誇っているそうです。試合も面白いですが、コマーシャルもみんなこのときを狙って新しいものを投入してきます。30秒のコマーシャルが290万ドルするそうです。
フットボールはチームスポーツですから、チームワークがとても大事です。いくら優秀なコーターバックがいてもこの人を守る人が必要で、またボールを受け取る人も必要です。だれかが怪我をしたら代わりにすぐにしっかりとした仕事をする人も必要です。またチームを纏めていくコーチやキャプテンなどの存在も大きいです。こういったチームワークのいいチームが必ず最後に残っていくわけです。 
チームワークの重要さはスポーツだけではありません。人間社会全体にあてはまります。家族・学校・会社・町・国、そして国際社会、こういった一つ一つの有機体はまとまっていないとすぐにばらばらになってしまいます。
去年、日本で地震・津波の大被害があり、このときはそれこそみんながいっしょになって、何か役に立とうとしました。日本をどうにかしよう、と思ったはずです。愛する人、思いを共有する人のた めに役に立つことが人間の喜びだと知ったのではないでしょうか。そこから大きな力が発揮されたものだと思います。こうして日本人がひとつになって、自分にできることを考えた東日本大震災。だけども、約10カ月が過ぎ、被災地のがれき受け入れをめぐって各地で混乱が起きるなど、ほころびも見え始めています。人間はどうしても、自分が、自分が、という気もちがどこからかでてきます。自分の事しか考えないことを身勝手といいますが、たとえば目の前で苦しんでいる人を見るとかわいそうと思うのに、表面だけで終わってしまい、自分 の身の回りの安心、安全だけを気にかけるようになってしまうようなことがその例です。本来、自分の身を犠牲にしても人を助けたいと思うのが人間なのに、目の前のことしか見えな いようになることが見受けられます。こういうつまらない人になり果てようとすることにならないように注意して欲しいと思います。他人を大事にすることができる人は、真の意味で自分を大事にできる人です。他人を尊敬できる人は、真の意味で自分に信頼感を持っている人だと思います。対人 関係は自分の内面の照り返しですから。人生におけるチャンスも不運も、全部自分から始まっているんだという認識をもつことが大事ですよね。自分自身を保つ ことで、他の人との関係が保てるということです。
今日の話はチームワークでした。

57.三学期始業式 (2012年1月7日)

明けましておめでとうございます。2012年がスタートしました。ことしはうるう年になります。4年に一度一年366日となり、地球の公転の日数のずれを 調整する年です。この年には夏のオリンピックがあり、今年は7月末からロンドンで開かれます。あと、アメリカの大統領選挙もうるう年に行われます。 こと しの干支は「辰」、竜年になります。小5の二人が辰年生まれですね。干支は中国の大昔から使われて、年、時間、方角などいろいろなものを表すのに利用され てきています。全部で12の動物がいますが、竜だけは伝説上の動物ですね。どうして竜が入ってきたのかはよく分かっていません。 辰は方角としては東で す。東は太陽の昇る方向で、ちょうど竜が登るのにかけたのかも知れませんね。また、中国では方角に色を使いました。東は青です。ここから青春などのように 若くてこれから将来がいっぱいあるものに、青の字が使われているのです。
さて、三学期は2ヶ月半しかありません。あっという間に過ぎてしまうのがいつもの例ですが、皆さんには文集を纏めてもらうという大きな仕事があります。また、寒い時期になりますが、寒さに負けずにがんばっていきましょう。

56. 二学期終業式 (2011年12月17日)

2011年も終わりが近づきました。時の経つのは遅いようでも、実際にはいつもあっという間に過ぎていってしまうようです。
今年の補習校のビッグイベントは25周年記念でした。しかし、3月の東北・関東大震災はなんといっても今年最大の出来事です。われわれもガレージセールを 行い、短時間の準備で2万ドル以上の売り上げを上げることができて、わずかでも被災地の復興援助の足しになったものと思います。同時に、ここイリノイ中部 のみんなの暖かい気もちをじかに感じ取ることができたのも大きな収穫でした。25周年記念に法人各社からの寄付をいただいて準備したお金も、ISUの厚情 で、日本の被災者に贈ることができました。
一方、補習校は平成23年度は37名でスタートし、現在34名となっています。先生の方は、グラム先生が出産のために一年ほどお休みすることになり、代わりに滝島先生が4年生の担任になりました。グラム先生は6月に元気に女児(華子・Ruthさん)をご出産されました。
7月末には中西部の補習校20校から先生方が当地に集まり、現地採用講師研修会が開かれて、有意義な会を持つことができました。
いろいろとありましたが、今年もご家族の皆様には大変お世話になり学校運営もスムーズに進めることができ、心より感謝申し上げます。
クリスマスからお正月にかけて、一年間を振り返り新しい年に向けて新たな気持ちでスタートする準備ができる時間があると思います。生徒諸君には終業式に際 して、一年間のよかったこと、悪かったことなどに思いを馳せて、新たな目標を作ってほしいとお願いしました。ご家庭でもお子様たちの目標つくりにご協力い ただけると幸甚です。
最後にクリスマスにふさわしい曲を紹介します。クリスマスキャロルの一つですが、原曲はイングランドの民謡で、Green Sleevesという曲ですのでお聞きになったことがあるかも知れません。曲の名前はWhat child is this?といい、歌っているのはセントルイスをベースにしたQuarterでVocal Spectrumという男性アカペラのグループです。 とてもきれいなアレンジですので、ここをクリックしてお楽しみください。

55. 12月の話し (2011年12月3日)

今年も後一か月となりました。12月は日本のコヨミでは師走といいます。師はもともと僧侶、仏教のお坊さんのことで、普段はゆったりとしているのですが、年末は忙しくて走るので師が走る月となったという説があります。年末にはその年のことを振り返ってよかったこと、悪かったこと、反省したりするのにいい時期だともいえます。
ところで先週は感謝祭でお休みでした。みんなで七面鳥の料理を食べたりした人もいるでしょうね。アメリカのサンクスギビングはもともとヨーロッパから移住してきた人たちが親切にしてくれたインディアンのおかげもあって穀物の収穫ができたことから、神に感謝するというお祭りがはじめです。どこの国でも昔から穀物の収穫が終わった後にお祭りをする風習があります。日本では新嘗祭という名前の収穫祭があります。これは11月23日に天皇陛下がその年の収穫に感謝するという目的で行われるものです。日本の村では秋祭りが行われますが、これも収穫祭です。ヨーロッパでは例えばドイツのオクトーバー・フェストなどが有名です。
さて感謝する、ということですが、これは人間にとってとても大事なことです。
人が挨拶をした時、挨拶された人はすぐに挨拶を返したくなります。笑顔で「ありがとう」と言えばまわりがぽっと明るくなります。笑顔が大事ですよ。難しい顔をしているとぎすぎすした雰囲気がでてきてしまいます。
感謝の気持は自然の徳で、人間は生まれたときからそれを持っているといえます。赤ちゃんは、母親の愛情ある行いが自然に分かります。赤ん坊は感謝の言葉を知りませんが、自然の本能で母の愛といたわりに甘えることによって感謝の気持を表しているのです。 このように、感謝の気持は生まれながらにして持っている自然に備わっているのですが、人間は年をとって大きくなると、次第に自分が、自分が、という気もちがでてきて、だんだん感謝の気もちが失せていきます。だから私たちの人生を通じて心の中に持ち続けようとするためには、それを養う必要があります。 他の人々の善意に対して自発的に感謝の気持を表すよう努力しななければいけません。 
感謝祭の間、仕事も学校も休みだったのでちょっと時間があり、どんなことに感謝しているのだろうと考えてみました。
まず家族がいます。ぼくの奥さん、子供たち、親、兄弟などすばらしい家族に恵まれていることに感謝しています。それから英語で言うとExtended family、肉親ではないけれど、会社、学校などでの友人も大きな意味で家族です。こういった人達にも囲まれて生活をおくっていくことができるのも大変しあわせです。
次にはアメリカも日本もそうですが、平和な社会に生きているということはとても喜ばしいことです。世界中にはまだまだ自分の思っていることも言えず、戦争にまきこまれたり、秘密警察だとかギャングなどにおびえて生活をせざるを得ない人達が沢山います。われわれの生活が当たり前だと思ってしまいがちですが、実はとてもしあわせなことなのですね。
同じように普段は何も意識しませんが、目が見えることで美しい景色を楽しむことができる、耳が聞こえることで素敵な音楽を鑑賞することができる、足があるのでいつでもどこにでも行くことができる、手があるので日常生活を快適に過ごすことができる、などなど、よく考えて見るととてもすばらしいことです。
普通に生活していればこんなことはまず考えないのですが、たまにはこういった根本的な視点にたって物事を考えることも重要です。
何も「ありがとう」だけでなく「こんにちは」「いただきます」など相手に感謝を表わす大切な言葉は沢山あります。
人から聞いた話しですが、日本のある学校で母親が『子供に給食の時間、「いただきます」を言わせないで欲しい』という申し入れがあったそうです。その理由は、給食費をちゃんと 払っているのだからいいのではないかと言うものでした。また、ある人の体験談は、「食堂で、『いただきます』『ごちそうさま』と言ったら、別のお客さんに 『どうして?』と聞かれた。「作った人に感謝している」と答えると『お金を払っているのだから、店がお客に感謝すべきだ』と言われた。」との事だったそうです。
確かに理屈はそうかもしれない。しかし、今、もっとも大切な事が忘れられていると思います。それは相手を思いやる心、感謝の気持ちだと思います。
お金を貰っているとか、払っているとかに関係なく、自分が今生きていけるのも多くの人やものそして、社会の存在があるからだと感謝をし、有難いと思う。 その心の余裕と思いやりが必要です。
私は個人的にはみなさんには、まわりの人に思いやりをもって、明るくありがとう、と挨拶ができる人になってほしいと思います。
日本には、古くから茶道や舞芸のように決められた動作を生涯を掛けて繰り返し追求する文化が多くみられます。茶道というのはお茶を作る動作を芸術化したものといえますが、要は「お手前」といって、お湯を沸かして、お茶をいれて、これを人にふるまうことです。お手前は動作が決められているので同じ事を繰り返しているのですが、実は同じ御手前を100回しても、毎回違う感触が有るそうです。 現在でも継がれている茶道の元は千利休という人が確立したとされています。この人は豊臣秀吉のころの人なので今から500年近く前の人です。この人が最も大事にした言葉に「一期一会(いちごいちえ)」があります。これは『あなたとこうして出会っているこの時間は、二度と巡っては来ないたった一度きりのものです。だから、この一瞬を大切に思い、今出来る最高のおもてなしをしましょう』と言う意味です。これはお茶をたてるときだけではなく、なんにでも当てはめることができると思います。社会生活を送っていく上で、常にまわりの人達との付き合いを大切にして、感謝の気持ちを忘れずにすることで人生が一層楽しくなっていくことは間違いありません。
さて、話しはかわりますが、今頃の季節になると毛虫が田舎の道を横切っていくのをよく目にします。この毛虫の色がくろっぽいとその冬は厳しいものになるといわれています。そして、今年の毛虫はかなり黒いそうです。だからもしかしたら厳しい冬になるかも知れませんが、みんなの元気で寒さを吹っ飛ばして元気にこの冬を乗り切りましょう。

54. 11月の話し (2011年10月30日)

11月は日本のコヨミで霜月です。まさに読んで字のごとく、霜がおりはじめる月なので、霜月です。いよいよ冬も間近ということですね。
さて、去年からみんなにテーマ作文を書いてもらってきています。しばらくの間、毎月違うテーマで書いてもらってましたが、2学期からはちょっとやり方を変えて先生にも見てもらい、内容を充実させるようにしました。9月の作文のできはよくなってきていると思います。内容もみんなの気持ちがよく現れています。ところで9月のテーマで、この世にないといいもの、というのがありました。中には虫がいないといい、細菌がいないといい、蚊がいないといい、また災害がないといい、などなど、いろいろ確かにこういうものがないといいな、と思うようなものがあげられていました。ことしもいっぱい災害があちこちでありました。日本で起こった東北関東大震災による地震と津波の被害は大変なものだったのはみんなもよく知っている通りですね。これ以外にもハリケーン・台風・大雨・洪水など自然災害は沢山起こってます。われわれの住んでいる地球はできてから35億年たっているといわれていますが、ずっと生きていて、常に活動を続けているので、残念ながらこういう災害は避けることができません。災害などで被害を受けた人がいたときに、みんなでたすけ合うということが必要です。ぼくたちも日本の地震のときにガレージセールをして日本に寄付しましたことはよく覚えていると思います。昔からいろいろな話がありますが、ひとつお話をします。今から2000年前にイエス・キリストという人がいました。この人はいろんな話しをしていますが、その中に「善いサマリア人」という話があります。英語でGood Samaritanといい、皆さんもアメリカに住んでいるので、この言葉を聞く事があると思います。キリストはユダヤ人ですが、今から2千年まえのイスラエル地方にはいろんな種族が住んでいて、サマリア人というグループも一緒に住んでいました。彼らは違う神様を信じて、ユダヤ人とは仲が悪かったのです。あるとき、ユダヤ人の旅人が道で盗賊にあってしまい、お金や、持っているものを全部盗られてしまい、さらになぐる・けるの暴行を受けて半死半生の状態になって、道端にたおれていました。するとそこにユダヤ人の学者が通りかかったのですが、彼は旅人を見て、自分も盗賊にあったら困るから、と、そのまま通り過ぎてしまいました。 しばらくして別のユダヤ人が通りかかったのですが、この人も旅人にかかわりたくなくて、見てみぬふりをして通り過ぎてしまいました。次に通りかかったのはサマリア人でした。この人は旅人を見て、これは大変だ、と怪我の治療をしてあげて、次の町の旅館まで連れて行き、旅館の主人にこの旅人の宿泊費を払い、十分に面倒を見るようにたのみました。もし、お金が足りなかったら、またしばらくしたら立ち寄るのでその時にちゃんと全部はらいますとまで、言って去っていきました。
さて、この3人の態度を見て、だれが正しいことをしたでしょう? だれでもサマリア人が正しいと思いますよね。 キリストは他人を自分の事のように愛しなさい、と言ってます。キリスト教という宗教を信じるかどうかは人それぞれですが、困っている人を見たら、自分でできる範囲のことはしてあげる、という気もちがとっても大事だと思います。テーマ作文でだれかが、「人間の欲がなければいい」と書いてました。欲があるからけんかが起こったりするのですね。 なんでも自分が、自分が、という気もちをだれでも持っていると思いますが、みんなで社会を築いていくためには他人のことを同じように大事に思うことが絶対に必要です。 
さて、来週の学習発表会をたのしみにしています。運動会のときにくばったリストバンドに書いてあるようにOne for All, All for Oneということで、みんなで協力して、いい成果をだしてください。

53. 10月の話し (2011年10月3日)

秋分も過ぎて一層秋らしくなってきました。 10月の朝礼は中2・眞鍋君の10月の言葉に次いで、5年生の研究発表で、内容は歴史上の人物の伝記についてしらべたものの発表でした。
10月生まれのお友だちの紹介があったあと、校長の話しで、しめくくりました。
一学期の最後にメットキャフスクールの校長と、ISUの代表者に来てもらい本校開校25周年の記念品贈呈式を行いました。 25年前の10月にに3人の生徒でスタートしていますので、今月でちょうど満25年経ったことになります。
一口で25年といっても、やはり大変長い間となります。その間延べにして千人以上の生徒がこの学校に入り、去っていきました。 最初のころにいた生徒たちはもうとっくに社会に出て活躍しています。 小中通じて9年間通った人、また、本の短い期間しかいなかった人たちもたくさんいますが、それなりに楽しい思い出ができたと同時になんらかの役に立ってきたものと思います。
ここイリノイにこの学校ができたのは、自動車工場の建設に伴い、駐在家族が大挙して移り住んできたことにはじまります。 この工場がイリノイ州に決まったのにはいろいろな経緯があるようですが、交通の要所にあることも大きな理由でしょう。 
イ リノイ州について少し話します。 イリノイという名前は昔ここに住んでいたインディアンの種族の名前からきています。 先住民族のインディアンたちは何千 年も住んでいたようですが、ヨーロッパからの移住者が入ってきて、次第に人数が減っていきました。ヨーロッパ人ではフランス人が最初に来たようで、彼らが 種族の名前をこの場所の名前にしたのがはじめといわれています。日本との大きさと位置関係を示す絵を見てください。赤いイリノイ州の真ん中がブルーミントン・ノーマルですから、日本のだいたい青森県あたりになります。
イリノイ州出身のアメリカの大統領としてはリンカーン、グラント、オバマと3人の人がいます。大統領になる時はカリフォルニアの出身でしたが、もともとイリノイで生まれた大統領が一人だけいます。それはロナルド・レーガンという人で、この近くのユーレカ大学の出身です。そのあとシカゴカブスのアナウンサーなどをやってから、映画俳優になり、最後には大統領になった人です。 イリノイの州の花はスミレ(バイオレット)、鳥はカーディナル、木はホワイトオークという木です。一番大きな町はもちろんシカゴで、州都はスプリングフィールドです。ちょっとした豆知識で日本から来た人などに説明してあげてください。
さあ、あと一か月で学習発表会があります。みんなで協力してがんばりましょう。
また、これから次第に寒くなっていきます。風邪などひかないように健康にも気をつけましょう。

52. 9月の話し (2011年9月4日)

9月は日本のコヨミでは長月といいます。次第に夜か長くなってくる季節でもあり、夜長月がつまって長月となったという説があります。今月の23日は秋分の日で、昼と夜の時間が同じになり、そのあとは明るい時間がどんどん少なくなっていきます。
一方、この季節は太陽と月との位置関係から北半球では月がもっとも明るく、きれいに見えるころになります。むかしから十五夜のお月さん、中秋の名月という言葉がありますが、旧暦の8月、今では9月の後半くらいが丁度この時期にあたり、満月の月見をする習慣が昔からあります。すすきを飾って、月見団子というおだんごとか、サトイモ・枝豆などをもって、そこにお酒を供えてお月様をながめるということをしたのです。 夜ゆっくりと月をながめるというのも、たまには落ち着いていいものではないでしょうか。中国・韓国ではこのころは今でも盛大にお祝いをするそうです。
月の話になったので、ちょっと宇宙旅行の話をしてみます。始業式のときにちょっと触れましたが、僕は夏休み中に宇宙飛行士の山崎直子さんの書いた「夢をつなぐ」という本を読みました。これは中学生の感想文全国コンクールの課題図書です。たしかに漢字もかながふってないので、低学年の人にはちょっと難しいでしょう。だからその内容をちょっと紹介します。
一口に宇宙といっても大きな意味ではすべての星などを含むとてつもなく広い空間のことも、いいますが、われわれの住んでいる地球からみればいわゆる大気圏・空気存在するところから出たところはすべて宇宙と呼ぶことになっています。地上から約100キロ以上離れたところはもう宇宙になります。昔から人間は空を飛ぶこと、さらにはお月様やもっと遠くの星にまで言って見たいという夢をもっていたようです。まず空に浮き上がったのは、今から250年くらい前に、熱気球で飛び上がったのが最初だそうで、次第に飛行機の発明などで、大気圏内の飛行が可能になっていきました。すると次に考えるのは宇宙に飛び出すことです。昔、アメリカはソ連という国と非常に仲が悪くて、お互いに戦争の準備を競い合っていたことがあります。このころ、宇宙、そして月に相手よりも先に行くことも競争していました。その結果今から50年前にソ連がはじめて人間を宇宙空間に送り出して、先行しました。アメリカも一歩遅れをとりましたが、今度は絶対に月には自分の方が先に到達するのだという目標を掲げて、1969年にアメリカのアポロ11号が月面着陸を成し遂げて、無事に地球に帰るというこができました。 アポロ計画はその後何度か月面に人を送っています。しかし、月に人を送るのはものすごいお金がかかります。そのわりには得るものが大したことがないことが次第に分かってきて、宇宙開発は次第に形を変えていきました。
今は宇宙、といっても地球の周りをぐるぐる回る軌道に乗って、人間の社会的な生活に役立つためのいろいろな研究をすることが主な目的となってきています。
いずれにしても大きなお金がかかるので、幾つかの国が一緒に開発を行うようにもなってきています。 宇宙空間に大きな国際宇宙ステーションをいうものを作って、その中に幾つかの国から派遣された研究者が長期に滞在して、いろいろなことを行っています。日本もきぼうという名前の実験棟をこの宇宙ステーションにつなげて、研究に参加しています。
この宇宙ステーションと地球との往復をするのに、アメリカはスペースシャトルというものを使っています。
山崎直子さんはこのシャトルに乗って宇宙に飛び出した宇宙飛行士の一人です。今から25年前にチャレンジャーという名前のシャトルが打ち上げ直後に空中爆発をして、ばらばらになってしまうという大事故がありました。この打ち上げから事故に至るまでが世界中にテレビの実況中継で流れていました。当時15才だった山崎さんはこのニュースを見て、当然ものすごいショックを受けました。そして、飛行士の中に小学校の先生で女の人がいたことを知りました。あとで、その女性飛行士が昔から宇宙飛行士になる夢を持っていたことを知り、山崎さんも将来、自分も宇宙に行って見たいと思うようになったそうです。この本では山崎さんのその後の夢に向かっての努力、苦労、楽しかったことなどが、つぎからつぎへと紹介されています。宇宙飛行士といってもだれでも希望すればなれるものではありません。何万人もの希望者の中から選ばれた人達だけがその候補者になれるので、多少ラッキーなところもなければいけないでしょうし、勿論勉強もしないとだめですよね。また、回りの人達のサポートも絶対に必要です。 山崎さんの場合には、東大の工学部に入学しているということですから、勿論頭はよかったのでしょう。しかし、宇宙に行きたいという明確な目標を持って、そのための勉強をするという強い意志があったと思います。 大事なことはやはり自分で夢を持ったら、それを実現させて見ようという意思と態度だと思います。それから、ご主人と娘さんのサポートが山崎さんを夢の実現に結びつけたそうです。宇宙飛行士となることが決まってから、実際に宇宙に飛び出すまで、11年もかかっています。この間は、大変激しい訓練と、勉強、さらにコロンビア号の空中分解事故という大惨事による、シャトル計画の一時中断で何年も待たなければならなくなるなど、意思の弱い人だったら途中で投げ出したくなるかも知れないような、いろいろなことがありました。こういったことに負けなかったということをみなさんも、学んでください。
ところで、ひとつ本には書いてありませんが、さっきも言ったように、宇宙飛行士になれるのはほんの一握りの人達だけです。山崎さんといっしょに勉強して、がんばったけれど、結局自分たちの夢がかなわなかった人達も沢山います。でも、それはそれでいいのです。あくまでも夢の実現に向かって努力することで、たとえそれがかなわなくても、必ず自分の大きな財産になります。他の分野、他のことがらでこれらの努力が必ず役に立つものです。ですから、決して失敗を恐れずに、自分の思ったことをやり遂げるようにやっていってもらいたいと思います。
ところで、アメリカのシャトル計画はこの7月に打ち上げたアトランティス号が最後の飛行になりました。今後の宇宙開発がどのように進むのかはまだはっきりと決まっていません。シャトルの一回の飛行に15億ドル以上のお金がかかるというそうですから、そう簡単にどんどん宇宙に飛び出るということはなさそうですが、そのうち月だとか、他の惑星に向かっての有人飛行などが考え出されるかも知れません。
テレビのスタートレックだとか、アニメ、映画などでも宇宙を舞台とした話は沢山あり、それぞれに面白いですね。科学が進歩していくと将来、宇宙旅行ももっと簡単にできるようになる時代がくるかも知れません。みなさんが大人になったころには今とはまた違っていることでしょう。それぞれの夢を実現するようにがんばってください。

51. 補習校創立25周年記念式典 (2011年6月25日)

創立25周年記念事業として補習校から校舎の貸主であるMetcalf Schoolに記念ギフトを贈呈しました。当初は記念品を考えていたのですが、Metcalf Schoolの意向は、この相当金額を日本の震災犠牲者に対する義援金として使って欲しいということになり、この好意を受けて、さくら会から直接日本赤十字社に送金をすることにしました。 25日の式典ではISUのLaboratory School担当責任者のDr. Robert Deanと、Metcalf Schoolの現校長Dr. Coffmanに参加してもらい、さくら会の頼末理事長からチェックを贈呈しました。

50. 6月の話し (2011年6月4日)

6月になると気温も次第にあがってきて、もう夏もそこまで来ているという感じがします。今週の月曜日はアメリカではメモリアルデーという休日でした。アメリカの政府が休む休日は全部で10日ありますが、そのうちの一つで大事なお休みということです。メモリアルは「なになにを記念する」というような意味をもっていて、もともとはメモリーという言葉からきています。メモリーとは記憶ということですね。 このメモリアルデーは何を記念しているかというと、戦争で亡くなった人達のことです。すなわち、これらの人達の大きな犠牲を決して忘れてはいけません、みんなで感謝の気持ちをもちましょう、という特別の日になります。われわれの住んでいるアメリカそして日本、ともに今自由で平和な国になっています。これは自然にそうなったのではなくて、ある時期に理想を持った人々が戦いとったものです。要するにこれらの人達の大変大きな犠牲の下で、われわれは平和を、また自由を楽しむことができているので、これを忘れないようにしましょうと、いうことです。今のアメリカの軍隊は全て志願、すなわち自分から進んで兵隊になるという人だけでなりたっています。いやだったら行く義務はありません。兵隊になるということは大変な危険を伴っているわけです。さっき言ったように、戦争で亡くなった人達が自分の国を守るために戦ったのですが、亡くなった方々だけでなく、戦場に行って怪我をする人、精神的なダメージを受ける人、また家族と長い間離れ離れになってすごさなければならないという、大きな犠牲を払っているのが兵隊さんたちです。このメモリアルデーは、昔軍隊に行った人、今兵隊となっている人達にも感謝の気持ちを持ちましょうといことです。
われわれの暮らしている現在の世の中は大変移り変わりが激しい時代です。人間は都合のいいことは結構覚えているのですが、都合の悪いことは忘れがちです。このスピードの時代に昔のことなど、いちいち覚えていられないと、いうのもなんとなく分かるような気がしますが、覚えている必要のあるもの、そうでないものとあって、決して忘れてはいけないことが結構あるわけで、この辺の判断をしっかりとしておく必要があります。
今年の3月11日に日本の東北地方を襲った地震・津波の被害はみなさんもご存知のとおりです。特に津波がこんなに恐ろしいものとは、海辺に住んだこともないわれわれには想像も付かないものでした。多くの町、村が全滅に近いほどになってしまいました。そんな中で、岩手県の普代村という海に面した村では一人の死亡者も出さず、一軒も水の被害を受けなかったそうです。これは25年以上前に作られた高さが15.5メートルの防潮堤と水門があったおかげです。他の村・町でも同様に波を防ぐための壁や水門が作られていたのですが、高さがせいぜい数メートルから10メートルちょっとで、今回の津波のように高さが14メートル以上もあるものに対して役に立たなかったわけです。この普代村の水門が作られた際にはなんでそんな馬鹿みたいに高いものを大金を出して作るのかという疑問が多く寄せられたそうですが、当時の村長が明治時代に襲った津波の高さが15メートルあったという話を聞いていて、これ以下では絶対に役に立たないと、意見を変えなかったそうです。
昔に学ぶということ、そして大事なことは忘れないということ、このメモリアルデーに際してこういった気持ちをいつも持っていてください。

さて、来週は運動会です。みんなにリストバンドを配りました。本当は赤・白それぞれ分けたかったのですが、そのためにはそれぞれ百個作らないとだめだったので、一種類にして両方を、そしてわれわれ教師もできるように青も加えて作りました。ここに書いてあるのは去年の生徒会のモットーでもある、One for all,all for oneという言葉です。一人はみんなのために、みんなは一人のために、ということです。むしろ後のほうのワンは一つの目標というように思ったらいいかもしれませんね。 これはフランスの小説の三銃士という話の中で使われています。いい言葉ですよね。まさにみんなで一緒にがんばろう、ということで、運動会にもってこいのモットーだと思います。

49. 「5月のはなし」 (11年5月7日)

5月は日本の暦では皐月で、もともと早苗月、すなわち田植えをする月とい言う名前が短くなって「さつき」となったそうです。春から初夏にかけて植物がどんどん生長する季節といえます。花が咲き始めると、花の蜜を求めて昆虫が活動をはいめ、その虫を求めて鳥が活動をはじめます。自然界が一斉に動きはじめる感じがします。日照時間が長くなり、日に日に温かさが増してきています。
地球は太陽から絶え間なくエネルギーを得ています。その熱は大気や海水を暖め、あらゆる生物が生きていける最適の条件を作り出しています。その光はわれわれに昼間の明るさをもたらすだけでなく、植物に大切なエネルギーとなります。
植物は人間にとってとても大切なものです。先ずこれらを食べることで人間にとって栄養となり、エネルギーの元となります。中には薬になるものもあります。 木を切って材木として建物・家具の材料になり、紙の材料にもなる。 また、わた・麻など繊維としても利用し、油の材料でもあり、これを燃やせば燃料となります。木がいっぱい生えていると防風林として、また土砂崩れを防ぐなど、自然災害から守ってくれます。さらに大事なことは植物は酸素を作ってくれています。以前酸素を発見したジョセフ・プリーストリーの話をしましたが、この人が発見した通り、植物は過去6億年に亘って酸素を作り続けてきたおかげでわれわれが生きていくのに必要な最適の条件を作り出したと言えます。 
さて、われわれの住んでいる地球ですが、太陽のエネルギー、太陽との距離、月の働き、大気の存在、海水の存在とその動きなど、自然の条件がうまくバランスしているのですが、これが少しでも狂うと大きな影響がでてきます。今、大きな問題として取り上げられていることに地球温暖化ということが言われいます。地球が少しずつ暖かくなっていて、このままだと氷河が溶けて地球上の海水が増え、海面が上昇して世界中に大きな問題を起こす危険性があるというもので、その原因を人間が作っている、というものです。これらの問題については皆さんがそれぞれ調べて自分の意見を持つようにして欲しいのですが、地球上の問題は全てわれわれの問題です。みんなで自然の条件を悪くしないようにする努力が必要ですね。 われわれひとりひとりは小さいけれども、みんなの心がまとまっていると、集まって大きなことをすることができます。スイミーの話しを知っていますよね。小さな赤い魚たちが集まって大きな魚の形をつくり、それまで小さな魚をえさにしていた黒い大きな魚を追い出すことに成功しました。 
谷川俊太郎という人が書いた詩に「朝のリレー」という作品があります。
カムチャッカの若者が きりんの夢を見ている時
メキシコの娘は 朝もやの中でバスを待っている
ニューヨークの少女がほほえみながら 寝返りをうつとき 
ローマの少年は頭柱を染める 朝陽にウインクする
この地球では いつもどこかで 朝がはじまっている
ぼくらは朝をリレーするのだ 経度から 経度へと
そうしていわば交替で地球を守る 
眠る前のひととき 耳をすますと どこか遠くで 目覚まし時計のベルが鳴っている
それはあなたの送った朝を 誰かがしっかりと受け止めた 証拠なのだ
 
地球はひとつで、みんなで守って行くものだということですね。
われわれの生きている世界は常に活動して変動しています。0しかし未来は予測するものではなく、創造するものです。こういうダイナミックな世界に生きていくことはとても幸運だといえるのではないでしょうか。